小規模企業共済とは、フリーランスや個人事業主などが利用できる退職金制度です。
小規模企業共済に加入すると、将来仕事を辞めるときに、積み立てた掛金を退職金代わりに受け取れます。
フリーランス・個人事業主は会社員のように保障が手厚くないので、将来の備えとして積極的に活用したい制度のひとつです。
今回は、小規模企業共済の特徴やメリット・デメリット、加入手続き方法について解説します。
小規模企業共済の特徴
小規模企業共済は、フリーランスや個人事業主、小規模企業の経営者のための退職金制度です。
独立行政法人 中小企業基盤整備機構が管理・運営を行っており、全国で約133万人(2017年3月現在)が加入しています。
個人事業の廃業や法人の解散など、将来仕事を辞めるときに、支払った掛金に応じて共済金を受け取れるのが特徴です。
掛金は月額1,000円~7万円(500円単位)の範囲で自由に設定でき、掛金は全額所得控除になります。
また、資金繰りに困ったときは、掛金の範囲内で事業資金の貸付制度を利用することも可能です。
小規模企業共済の共済金の種類
小規模企業共済は、請求事由によって、受け取れる共済金の種類が異なります。
共済金の種類と主な請求事由をまとめました。
共済金の種類 | 主な請求事由 |
---|---|
共済金A | 個人事業主の廃業、法人の解散 |
共済金B | 老齢給付(65歳以上で180か月以上掛金を払い込み) |
準共済金 | 法人成りで加入資格がなくなったことによる解約 |
解約手当金 | 任意解約、機構解約(掛金を12か月以上滞納) |
共済金の種類によって、受け取れる金額も変わってきます。
たとえば、掛金月額1万円の場合、共済金の額は以下の通りです。
納付年数 | 掛金合計額 | 共済金A | 共済金B | 準共済金 |
---|---|---|---|---|
5年 | 600,000円 | 621,400円 | 614,600円 | 600,000円 |
10年 | 1,200,000円 | 1,290,600円 | 1,260,800円 | 1,200,000円 |
15年 | 1,800,000円 | 2,011,000円 | 1,940,400円 | 1,800,000円 |
20年 | 2,400,000円 | 2,786,400円 | 2,658,800円 | 2,419,500円 |
30年 | 3,600,000円 | 4,348,000円 | 4,211,800円 | 3,832,740円 |
参考:独立行政法人 中小企業基盤整備機構|小規模企業共済 制度のしおり
解約手当金の場合は、納付月数に応じて掛金合計額の80~120%相当額が受け取れます。
小規模企業共済のメリット
小規模企業共済は、以下のようなメリットがあります。
- 掛金は全額所得控除
- 受取時も税制メリットがある
小規模企業共済の掛金は全額所得控除になるので、税金が安くなります。
所得税・住民税の節税額の目安は以下の通りです。

退職金を準備しながら節税できるのは、小規模企業共済の大きなメリットです。
また、共済金を受け取るときは、退職所得控除(一括受け取り)や公的年金等控除(分割受け取り)が適用されます。
小規模企業共済のデメリット
一方で、小規模企業共済には以下のようなデメリットもあります。
- 加入期間12か月未満の任意解約は掛け捨て
- 加入期間20年未満の任意解約は元本割れ
加入期間12か月(1年)未満で任意解約すると掛金は掛け捨てになり、全額戻ってきません。
また、加入期間240か月(20年)未満の任意解約は、受け取り額が掛金を下回り、元本割れとなります。
小規模企業共済の加入手続き方法
小規模企業共済に加入する場合は、以下のように手続きを行います。
- 必要書類を入手して必要事項を記入
- 加入窓口(銀行、商工会議所など)へ書類を提出
- 中小企業基盤整備機構から「小規模企業共済手帳」が届く
必要書類は以下の通りです。
- 契約申込書
- 預金口座振替申請書
- 確定申告書または開業届の控え(フリーランス・個人事業主の場合)
必要書類が準備できたら、銀行や商工会議所で加入手続きを行いましょう。
手続きが終わると「小規模企業共済手帳」などの書類が届き、掛金の引き落としが開始されます。
まとめ
小規模企業共済は、フリーランスや個人事業主として働いているなら、将来への備えとして活用したい制度です。
私も加入しており、毎月掛金を払っています。
掛金が全額所得控除になるのは大きなメリットですが、20年未満の任意解約は元本割れになる点に注意が必要です。
小規模企業共済に興味があるなら、まずは資料請求してみましょう!